今回訪れたのは、川崎市川崎区某所にあるダイエー川崎プロセスセンター内の工場。パン生地をつくって冷凍するラインとパンを焼くラインが併設されていて、1日に2万5千個以上、土日には3万個弱ものパンがつくられているのだとか。
案内してくれるのは、管理部の川辺さん。店舗内のパン屋さんであるインストアベーカリーの経験も長く、お客様と近く接してきたとのことです。
スマホや筆記用具などは持ち込み禁止!
まずは安心・安全の基本! 着替え・クリーニングの工程。髪をネットで包み、つなぎ状の白い作業着を着ます。着る時には袖を床につけないようになど、驚くほど細かく規則が掲示されているのにはビックリ!
マスクも着け、よーし、見学開始と思いきや、作業着についたゴミを、トルミングという掃除機のような機械で吸い取ります。時間は30 秒、タイマーできっちり測ります。
さらに粘着ローラーで全身をコロコロ。
まだまだあるぞ。洗剤でていねいに手洗い(これも30秒)。さらにアルコール殺菌も行ってようやく入室OK!
パン生地づくりの最初の工程がミキシング。小麦粉が50kgも入るミキサーで、小麦粉と水、塩、そしてイースト(パン酵母)を混ぜて25分ほど練ります。
練りあがった生地は分割機に入れられ、食パンだと1つ250gくらいの玉に分けられ出てきます。
分割された生地は、成形しやすいように自動丸め機で丸められます。
丸めた生地を次にモルダーという機械で伸ばします。食パンだと大きく、あんパンは小さくなど形はさまざま。
伸ばした生地は写真奥の巨大な冷凍庫に送られマイナス35℃で急速冷凍。庫内をらせん状に上がって40分ほどでカチカチの生地に変身。冷凍生地は工場内だけでなく、インストアベーカリーで焼くパンにも使われます。
パンの味わいを左右するのが小麦粉の種類と砂糖などの副材料です。小麦粉は、バターや油脂を混ぜたリッチな味やあんパンのような歯切れが欲しい時は強力粉、フランスパンのようにあっさりしながら食べ応えがあるパンには準強力粉と、パンによって使い分けられます。
ごまウインナー
冷凍した生地は焼く前に解凍室に入れ、解凍します。写真のごまウインナーの場合、解凍した生地にごまとウインナーを乗せ、パンをもう少し大きくするために1時間ほど温度管理された専用の部屋に置いて発酵させます。このひと手間もおいしさの秘密!
食パンの発酵は1時間くらい。発酵の管理が一番難しいそうで、温度や湿度によって変わる発酵具合を見極めます。
スライス前の食パンが大量に並ぶ姿は圧巻!
発酵させた食パンは型に入れたまま45分焼きます。そしてスライスの工程へ。
焼きたての食パンは切りにくいので、40〜50分冷ましてから、スライサーで1斤6枚切りにします。
1斤6枚ずつ袋詰めしてシールを貼ります。ここまで、生地の解凍から発酵・焼成・スライスを経て6時間くらいかかって完成!
こちらでは、発酵が終わったかぼちゃパンにマロンクリームをトッピング。
鉄板上のパンの並べ方も、パン同士がくっついたり焼きムラが出たりしないよう決められています。このあとトンネルオーブンに入っていきます。
25mもの長さがある巨大オーブン!
パンの乗った鉄板が自動でトンネルオーブンに入って焼成の開始です。パンによって焼く温度や時間も変わり、かぼちゃパンだと、200〜220℃で12分程度焼きます。
オーブンの中をパンが並んで進む姿はきれいで見ていて楽しい。焼きたてのパンのいい香りがあたり一面に立ちこめます。
こんがりきつね色に焼きあがったパンは、鉄板から自動的にすくい取られ、らせん状のクーリングコンベアで40分ほど冷まされます。
パンにツヤを出すための「塗り卵」。手間がかかってもひとつずつ刷毛できっちり塗るのがD’s Bakeryのこだわり。見た目も味もワンランクアップ!
商品は複数個1組で包装され出荷を待ちます。写真はコッペパンで、届け先のお店でコロッケを挟んだり、ジャムを塗る加工ができるようスリットが入っています。
関東の店舗別へ毎日朝一番の便で送り出されます。
関西の店舗へは分割・成形後すぐに冷凍した生地を送っています。
そこから各お店ごとに店舗のオーブンで焼き上げています。
※一部店舗のみ実施
パンづくりにこれほどさまざまな工程があり、人の手も多くかかっていることに感動…。川辺さんによると、「パンづくりは手間がかかるし、小さい子を育てるようなイメージ」だとか。最新の設備とつくり手の想いが融合して、確かな品質でおいしくて、やさしいパンがつくられていることが明らかになりました!