さば
秋には「秋さば」、冬には「寒さば」とも称される格別な味わいに。
縄文時代の遺跡から骨が発見されるなど、古くから日本の食文化に根づいていた「さば」。かつてはとても豊漁で安価だったため、日々の食卓に欠かせない大衆魚の代表でした。あまりに大量に獲れ、しかも足が早い魚なので、行商人がろくに数えずに大急ぎで売りさばいていたことから、『さばを読む』という言葉が生まれたともいわれています。
こうした「さば」の保存性を高めるために、飛鳥時代にはすでに塩を使った加工技術があったそうです。戦国時代や江戸時代には若狭の国(今の福井県)で獲れた「さば」をすぐに塩漬けし、行商人がかついで京都に運んでいました。若狭から京都へとつづく道は「鯖街道」と呼ばれ、一昼夜ほどかけて京都に着く頃にはちょうどよい塩加減になったのだとか。この「さば」を棒寿司に仕上げたのが、今も京都名物として知られる鯖寿司です。
選び方
目が澄んでいて、えらが鮮やかな紅色のもの。表面の模様がはっきりしていて、身がしまっているものが新鮮です。切り身の場合は、身割れをしていないものを選びましょう。
栄養
良質な脂質とDHA、EPAを豊富に含みます。また、カルシウムの吸収を助けるビタミンDも豊富に含んでいます。
料理
焼き物、煮物、揚げ物(から揚げやフライ)などにおすすめ。香味野菜やハーブ、香辛料を使って豊かな風味を加えたり、酢、みそ、しょうゆ、トマト、カレー粉などでしっかりした味つけに仕上げると、苦手な方でも食べやすくなります。
料理の基本辞典